平均は情報を消す
評価7点といっても、ほとんどの人が7点をつけた映画と、10点と4点が混ざって7点になった映画はまったく違います。前者は安定して悪くない映画で、後者は好みが分かれる映画です。後者は自分にとって最高の一本にも、時間の無駄にもなりえます。平均だけを見ず、点数の分布が見えるなら一緒に見る方がよいでしょう。 点数の分布を表示しないサービスなら、最高点と最低点の感想をそれぞれいくつか読むことで代わりにできます。
点数ひとつで決めるとよく外れます。平均が消す情報、批評家と観客の点数の違い、時期による変化、評価の操作、サービスごとに違う数字の意味と確かめる順番をまとめました。
評価7点といっても、ほとんどの人が7点をつけた映画と、10点と4点が混ざって7点になった映画はまったく違います。前者は安定して悪くない映画で、後者は好みが分かれる映画です。後者は自分にとって最高の一本にも、時間の無駄にもなりえます。平均だけを見ず、点数の分布が見えるなら一緒に見る方がよいでしょう。 点数の分布を表示しないサービスなら、最高点と最低点の感想をそれぞれいくつか読むことで代わりにできます。
批評家は演出・構成・文脈といった作りを見て、観客は面白さと満足を見ます。だから二つの点数が大きく開く映画が生まれます。どちらが正しいかではなく、自分が今何を求めているかによって、見るべき点数が変わります。 批評家の点が高く観客の点が低いなら実験的だったりゆっくりした映画である可能性が、逆ならジャンルとしての面白さが確かな映画である可能性が高くなります。もちろん、いつも当てはまる公式ではありません。
公開直後は、その作品を待っていた人たちが先に見て点をつけるため、高く始まることが多くあります。時間が経って一般の観客が入ってくると、点数が下がることもあります。逆に最初は低く評価され、後になって再評価される作品もあります。公開初週の点数は、まだ揺れている数字です。 古い映画の評価点は、すでに名作と認められた作品をあえて探して見た人がつけることが多く、同じ数字でも新作の点数とは性格が違います。
特定の作品を押し上げたり引き下げたりするために、組織的に点をつけることがあります。公開前なのに評価が多い、1点と10点だけが不自然に集まっている、といった場合は疑ってみる価値があります。こうしたときは数字より、実際のレビューをいくつか読む方が早いでしょう。 感想が極端に短く、似た文が繰り返されているなら、それもひとつの兆候です。
最も役に立つ方法は、自分と好みが重なる人を見つけることです。自分が好きだった映画を何本か似た形で評価しているレビュアーや媒体を知っておけば、全体の平均よりずっとよく当たります。ジャンルごとに別の基準を持つのも方法です。 自分が見た映画につけた点数を記録しておくと、時間がたつにつれて、どんなときに期待と実際がずれたのかという傾向が見えてきます。
同じ映画でもサービスによって点数が違うのには理由があります。10点満点と5点満点は同じ比率では換算できず、良いか悪いかの二択だけで集計して肯定の割合を表示するところもあります。その場合の90%という数字は「とても優れている」ではなく、「ほとんどの人がまあ良いと言った」に近い意味です。利用者層も違います。映画をたくさん見る人が集まるところは点数が辛めに、一般の観客が多いところは甘めに出る傾向があります。そのため異なるサービスの点数を直接比べるより、ひとつのサービスの中で他の映画と比べるほうが正確です。
評価点がはっきりしないときは、数字より他の情報のほうが多くを教えてくれます。特に低い点をつけた人が挙げる理由が自分にも問題になるかを見ると、判断がずっと早くなります。
映画を選ぶときに次の順番で見ると、評価点に振り回されることが減ります。まず評価した人数が十分かを見て、次に分布が一方に集まっているか割れているかを見ます。割れているなら低い点の感想をいくつか読み、その理由が自分の好みにも当てはまるかを確かめます。最後に批評家と観客の点数の差を見て、今日の自分が求めているのが作りの確かさなのか気軽な面白さなのかに合わせて判断します。慣れればこの手順は数分で終わります。